業務改善助成金とは
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内の最低賃金の引き上げを図るために、設備投資等を行うとともに事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた事業者に対して、その設備投資費用の一部を助成する制度です。厚生労働省が管轄しており、返済不要の給付金です。
支給対象事業者
以下の要件を満たす事業者が対象です。
- 中小企業・小規模事業者であること
- 事業場内最低賃金(事業場で最も低い時間給)が地域別最低賃金を一定額以上下回る事業場であること(令和7年9月の拡充により従来の「差額50円以内」要件が緩和。詳細は最新の交付要綱をご確認ください)
- 解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと
- 事業場内最低賃金の引き上げを実施し、その引き上げ後の額を6ヶ月以上維持できること
コース区分と助成額(令和7年度)
引き上げる金額(30円・45円・60円・90円)と引き上げる労働者の数によって、助成上限額が決定します。令和7年度から事業場規模30人未満の事業者向け拡大枠が中心となっています。
コース別の助成上限額(令和7年度・事業場規模30人未満の拡大枠)
- 30円コース:労働者1人 60万円/2〜3人 90万円/4〜6人 100万円/7人以上 120万円
- 45円コース:労働者1人 80万円/2〜3人 110万円/4〜6人 140万円/7人以上 160万円
- 60円コース:労働者1人 110万円/2〜3人 160万円/4〜6人 190万円/7人以上 230万円
- 90円コース:労働者1人 170万円/2〜3人 240万円/4〜6人 290万円/7人以上 450万円
※事業場規模30人以上は上記より低い基本枠の助成上限額が適用されます。最新の支給上限額および事業主単位の年間上限は、厚生労働省サイトで必ずご確認ください。
助成率(令和7年度から簡素化)
助成率は事業場内最低賃金額により2区分に簡素化されています。
- 引上げ前の事業場内最低賃金が1,000円未満の事業場:4/5(80%)
- 引上げ前の事業場内最低賃金が1,000円以上の事業場:3/4(75%)
※従来の生産性要件による9/10の特例助成率は令和7年度以降、適用されていません。
助成対象となる設備投資等
以下のような生産性向上に資する設備・機器等の導入費用が対象です。
- POSレジシステム、自動精算機などの省力化機器
- 顧客・在庫管理システム、勤怠管理システム等のソフトウェア
- 業務効率化のための機械装置(リフト、配膳ロボット等)
- 業務改善コンサルティング費用、社内研修費用
- 店舗改装、レイアウト変更等の経営改革に要する経費
単なる買い替えや更新は原則として対象外です。「生産性向上」と「事業場内最低賃金引上げ」の関連性が認められる必要があります。
申請の流れ
ステップ1:交付申請
事業実施計画(業務改善計画+賃金引上げ計画)を作成し、所轄の都道府県労働局に交付申請を行います。計画開始(設備購入・賃金改定)前に申請することが必須です。
ステップ2:交付決定
労働局による審査を経て交付決定通知を受領します。交付決定後に設備購入や賃金改定を実施します。
ステップ3:事業実施
計画に基づき設備投資を実施し、事業場内最低賃金を計画どおりに引き上げます。引き上げ後の賃金水準を6ヶ月以上維持する必要があります。
ステップ4:事業実績報告・支給申請
事業完了後、定められた期限内に事業実績報告書を提出します。労働局の確認を経て、支給額が確定し、助成金が振り込まれます。
申請時の注意点
- 交付決定前の発注・購入は対象外(重要:必ず交付決定後に着手)
- 賃金引上げの対象労働者は就業規則・賃金規程に基づいて雇用されていること
- 賃金引上げ後、引き上げた賃金を6ヶ月以上維持する必要あり
- 申請受付期間が定められており、予算枠到達次第終了する場合あり(早めの申請を推奨)
- キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)など他助成金との併給調整に注意
キャリアアップ助成金との違い
業務改善助成金は事業場内最低賃金の引上げと設備投資をセットで支援する制度です。一方、キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)は有期雇用労働者等の賃金規定を増額改定した場合に支援する制度で、設備投資は要件ではありません。事業の状況に応じて使い分けます。
まとめ
業務改善助成金は、最低賃金引上げ局面で中小企業の生産性投資を後押しする数少ない助成金です。最低賃金が毎年大幅に引き上げられるなか、設備投資と賃金引上げを連動させて活用することで、人材確保と業務効率化を同時に実現できます。
当法人では、業務改善計画の作成支援から交付申請、実績報告まで一貫してサポートいたします。お気軽にご相談ください。