テレワークに関するガイドライン
厚生労働省は「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(2021年3月改定)を公表しており、テレワーク導入時の労務管理の基本的な考え方を示しています。
このガイドラインでは、テレワークを「情報通信技術(ICT)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義し、在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務の3つの形態に分類しています。
テレワークを導入する場合でも、労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法などの労働関係法令は通常どおり適用されます。企業はこの点を十分に理解した上で、適切な労務管理体制を整える必要があります。
労働時間管理の方法
テレワーク時でも、企業には労働時間を適正に把握する義務があります(労働安全衛生法第66条の8の3)。ガイドラインでは、以下の方法が示されています。
- パソコンの使用時間の記録:PCのログイン・ログアウト時刻を記録する方法
- 勤怠管理ツールの活用:クラウド型の勤怠管理システムを利用する方法
- 自己申告制:従業員が始業・終業時刻を報告する方法(適正な申告を阻害しない措置が必要)
テレワークで活用できる労働時間制度
- 通常の労働時間制:所定労働時間を定め、始業・終業時刻を管理する方法
- フレックスタイム制:一定期間の総労働時間を定め、始業・終業時刻を従業員に委ねる方法
- 事業場外みなし労働時間制:労働時間の算定が困難な場合に、所定労働時間働いたものとみなす方法。ただし、テレワークでの適用には厳格な要件があります。
中抜け時間の取り扱い
テレワーク中に、私用のために業務から一時的に離れる「中抜け時間」が生じることがあります。この場合、以下のような取り扱いが考えられます。
- 中抜け時間を休憩時間として扱い、その分終業時刻を繰り下げる
- 中抜け時間を時間単位の年次有給休暇として取り扱う
いずれの場合も、就業規則等にあらかじめ定めておくことが重要です。
テレワーク時の労災
テレワーク中であっても、業務に起因して生じた災害は労災保険の対象となります。自宅で作業中に業務に関連して負傷した場合などは、労災として認定される可能性があります。
ただし、私的行為が原因の場合は労災の対象外となります。例えば、休憩時間中に自宅で家事をしていて負傷した場合は、業務との因果関係が認められず、労災は認定されません。
企業としては、テレワーク中の業務時間と私的時間を明確に区分し、記録を残すよう従業員に周知することが大切です。
就業規則の整備(テレワーク規程)
テレワークを制度として導入する場合は、就業規則にテレワークに関する規定を設けるか、別途「テレワーク勤務規程」を作成することが望ましいとされています。
テレワーク規程に定めるべき主な項目は以下のとおりです。
- テレワーク勤務の定義と対象者
- テレワーク勤務の申請・承認手続き
- 労働時間・休憩・休日の取り扱い
- 業務報告の方法と頻度
- 通信費・光熱費等の費用負担
- 情報セキュリティに関するルール
- 安全衛生・健康管理に関する事項
通信費・光熱費の取り扱い
テレワークに要する通信費や光熱費について、企業が負担する場合は、就業規則にその旨を明記する必要があります。費用負担の方法としては、以下のような方法が一般的です。
- 実費精算:実際にかかった費用を精算する方法
- テレワーク手当の支給:毎月定額のテレワーク手当を支給する方法
なお、テレワーク手当を毎月定額で支給する場合、社会保険料の算定基礎となる報酬に含まれる点に注意が必要です。一方、実費精算の場合は報酬に含まれません。
まとめ
テレワークの導入は、従業員のワークライフバランスの向上や優秀な人材の確保に効果的です。しかし、適切な労務管理体制を整えなければ、長時間労働や労働災害のリスクが高まる可能性があります。ガイドラインを踏まえた社内ルールの整備を行いましょう。
当法人では、テレワーク規程の作成から労働時間管理体制の構築まで、トータルでサポートいたします。お気軽にご相談ください。