最低賃金法の概要
最低賃金法は、賃金の最低額を保障することにより、労働者の生活の安定、労働力の質的向上、事業の公正な競争の確保を目的とした法律です。使用者は、最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
最低賃金は、正社員、パートタイマー、アルバイト、派遣労働者など、すべての労働者に適用されます。仮に労使合意のうえで最低賃金を下回る賃金を定めたとしても、その定めは無効となり、最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされます。
地域別最低賃金と特定最低賃金
最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。
地域別最低賃金
各都道府県ごとに設定される最低賃金です。産業や職種に関係なく、その都道府県内のすべての労働者と使用者に適用されます。毎年10月頃に改定されるのが通例です。
特定最低賃金
特定の産業について、関係労使の申出に基づき設定される最低賃金です。地域別最低賃金より高い金額が設定されており、該当する産業の労働者に適用されます。鉄鋼業、電子部品製造業などが対象となっています。
2024年度の最低賃金引き上げ
2024年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,055円となりました。前年度の1,004円から51円の引き上げで、過去最大の引き上げ幅です。
- 東京都:1,163円
- 神奈川県:1,162円
- 大阪府:1,114円
- 最も低い県(秋田県):951円
※2024年10月から順次適用されています。
最低賃金の対象となる賃金
最低賃金の対象となるのは、毎月支払われる基本的な賃金です。以下の賃金は、最低賃金の対象から除外されます。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
- 所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
- 深夜労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
違反した場合の罰則
地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合は、最低賃金法第40条により50万円以下の罰金が科されます。また、特定最低賃金額以上の賃金を支払わない場合は、労働基準法第24条違反として30万円以下の罰金が科されます。
さらに、最低賃金法違反は行政指導の対象ともなり、是正勧告を受ける可能性もあります。企業の社会的信用にも影響するため、確実に遵守することが重要です。
月給制の場合の時給換算方法
月給制の従業員について最低賃金を確認する場合は、以下の計算式で時給に換算します。
時給換算の計算式
月給(対象賃金)÷ 1ヶ月の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額
【計算例】
月給180,000円(基本給160,000円+職務手当20,000円)、年間所定労働日数250日、1日の所定労働時間8時間の場合
1ヶ月の平均所定労働時間=250日×8時間÷12ヶ月=約166.7時間
時給換算=180,000円÷166.7時間=約1,080円
※通勤手当や家族手当は月給から除いて計算します。
まとめ
最低賃金は毎年改定されるため、企業は改定時期に必ず自社の賃金水準を確認し、必要に応じて賃金の見直しを行う必要があります。特にパートタイマーやアルバイトなど時給制の従業員だけでなく、月給制の従業員についても時給換算で確認することが重要です。
当法人では、最低賃金への対応や賃金制度の見直しについてサポートしております。お気軽にご相談ください。